ピースは、鳥の鳴き声で目が覚めた。窓を開くと今日も気持ちの良い天気だ。部屋から出ると朝食のいい匂いが漂っている。
「ソラ、おはよう」
ピースの声に振り 向いたソラは笑顔で答えた。
「おはよう、よく眠れたかい?」
昨日はみんなで古い塔に行き、ウランと二人で待たされたあげくに、突然みんなが走って逃げてきたので、後ろから送れまいと必死で走ってそのまま家に帰ってきたのだ。あの塔の中で何があったのだろう。学校で説明してもらうことになっている。おかげで疲れてあまり食事も取らずに寝てしまったのだ。
「あ〜、昨日はみんなで古い塔に行ったんだ。ソラ、知ってる?」
椅子に座って、スープを口に入れた。
「古い塔?知らないな〜」
ここへ来てまだあまり日が浅いのでソラはそんなものがある事を初めて知った。
「不気味な古い塔へ皆で探検に行ったんだ。暗くて怖かったよ。」
口にパンとハムをほうばりながら言った。
「そんな所へ行くのは危ないよ。」
ソラは心配そうに言った。
「かおりちゃんはやめた方がいいって止めてたけど、結局皆で行くことになって…そう、止めてたかおりちゃんも中へ入っていったんだ。でも…僕とウランくんは外で見張りをさせられたんだ。ひどいだろ?」
口をモグモグ動かしながら少し怒ったように、
「僕だって中に入って見たかったのに。」
子供の好奇心を止めることは難しと思ったソラは、何事もなかったので深くは聞くのをやめた。
「あまり危ないところへ近づくのはやめろよ。」
「わかってるよ。」
残りのパンを口に詰め込んだ。部屋へ行き学校へ行く準備を始めた。ソラは、ピースの部屋の入口に立ち言った。
「今夜は、大事な話があるからゆっくり話そう。」
ビーンズ王国の王子であるピースは、すぐに話の内容はわかった。おとなしく内向的なピースには耳の痛い話であることは間違いない。
「うん、わかったよ。行ってきます!」
バッグを持って元気よく駆け出していった。
ピースは学校へ着くと、昨日の話をしているタタミの所へ行った。
「おはよう。」
するとウランが振り向いた。
「ピースくんおはよう。タタミが言ってたんだけど、あの古い塔には化物がいたらしいよ。」
「え〜ホントに?」
タタミとジュウが話に盛りあっがっている。
「あの塔の中に、かおりちゃんが言っていた箱があったんだ。暗くなって塔の中があまり見えなくなってきてたんだけど、目を凝らすと奥にその箱を見つけたんだ。開けるのかどうか迷ったんだけど、僕は開けることにしたんだ!」 |
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タタミは興奮気味に話した。続いてジュウも
「タタミの後をついて行き後ろから見ていたよ。」
タタミは話を続けた。
「ドキドキしながらその箱をそ〜っと開けた瞬間に何かが飛び出してきて…とにかく驚いたよ。黒い影が僕らを襲うように飛び出してきたんだ。」
続けてジュウが、
「とても素早く飛び出してきて、何が何だかわからなかったよ。」 |
ジュウとオモテは顔を合わせた。
「そして僕たちは、一目散に外へ逃げ出して、怖かったので立ち止まることなくそのまま家へ帰ったんだ。」
ホンマが聞いてきた。
「その化物はどうなったんだい?」
「どうなったんだろ…着いてきたのかな?逃げるのに必死で…」
ラグが身震いしながらボソッと言った。するとジュウが
「大丈夫だよ、着いて来てないと思うよ。途中で振り返って見たけど何もいなかったし…」
教室中ザワついている。今まで聞いたことのない化け物騒動で、皆動揺しているのだ。カオリもすっかり信じきっていた。あの飛び出してきた黒い影を目の当たりにして、ターミーが言っていたことが本当であったと確信した。
「みなさ〜ん、席について、お話は終よ〜」
急に入ってきたザクイ先生の声に驚きながら、皆あわてて席に着いた。 |
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